【GA4】サイトのスクロール率をGTMで計測する方法を解説

ユーザーがページのどこまで読み進めたかを把握することで、以下のような分析・改善が可能になります。

計測ポイント

・CTAボタンやリンクの最適な配置場所の特定
・ランディングページの離脱ポイントの可視化
・コンテンツの読了率の測定
・ページ構成の改善ポイントの発見

GTM(GoogleTagManager)とGA4(GoogleAnalytics4)を活用すれば、無料で簡単にスクロール率の計測環境を構築できます。

この記事では、初心者の方でも迷わず設定できるよう、手順を詳しく解説します。

事前準備:GTMへのログイン

まずはGoogleTagManagerにアクセスし、計測対象のWebサイトのコンテナ(ワークスペース)を開きましょう。

ステップ1:スクロール関連の組み込み変数を有効化

📌重要:この設定を忘れるとスクロール率が取得できません

GTMでスクロールデータを扱うには、まず組み込み変数を有効化する必要があります。

設定手順

1.GTM管理画面の左側メニューから「変数」をクリック
2.「組み込み変数」セクションの「設定」ボタン(鉛筆アイコン)をクリック
GTM9GTM9

3.以下の3つの変数にチェックを入れる

GTM4

変数名説明
ScrollDepthThresholdスクロールした深さ(パーセンテージまたはピクセル)
ScrollDepthUnits単位(percentまたはpixels)
ScrollDirectionスクロール方向(verticalまたはhorizontal)

これらの変数を有効にすることで、後ほどGA4へスクロール情報をイベントパラメータとして送信できるようになります。

ステップ2:スクロール距離トリガーの作成

次に、どのタイミングでスクロールイベントを発火させるかを設定します。

設定手順

1.GTM左側メニューから「トリガー」を選択

GTM1

2.「新規」ボタンをクリック

3.トリガー名を設定(例:「スクロール距離_10%刻み」

4.トリガータイプから「スクロール距離」を選択

GTM2

5,以下のように設定
GTM5

項目設定内容
垂直方向のスクロール距離チェックを入れる
パーセンテージ10,20,30,40,50,60,70,80,90,100※カンマ区切りで指定(刻み幅は自由に調整可能)
このトリガーの発生場所すべてのページ※特定ページのみ計測したい場合はURLフィルタを追加

6.「保存」をクリック

パーセンテージの設定例

  • 詳細に分析したい場合10,20,30,40,50,60,70,80,90,100
  • 主要ポイントのみ25,50,75,100
  • 読了率重視50,100

ステップ3:GA4イベントタグの作成

続いて、スクロールイベントをGA4に送信するタグを設定します。

設定手順

  1. GTM左側メニューから「タグ」を選択
  2. 「新規」ボタンをクリック
  3. タグ名を設定(例:「【GA4】スクロール距離」)
  4. タグの種類で「Googleアナリティクス:GA4イベント」を選択
  5. 以下のように設定
    GTM3
設定項目
設定タグ既存のGA4設定タグを選択※未作成の場合は先にGA4設定タグを作成してください
イベント名scroll_depth※GA4で識別しやすい名前を設定

6.イベントパラメータセクションで「行を追加」をクリックし、以下を設定

パラメータ名
percent{{ScrollDepthThreshold}}

変数の挿入方法

  • 値の欄をクリックすると、右上に「+」マークのアイコンが表示されます
  • クリックすると組み込み変数の一覧が表示されるので、該当する変数を選択
  1. トリガーセクションで、ステップ2で作成した「スクロール距離」トリガーを選択
    GTM7
  2. 「保存」をクリック

ステップ4:プレビューモードで動作確認

タグを公開する前に、正しく動作するかテストしましょう。

確認手順

  1. GTM画面右上の「プレビュー」ボタンをクリック
  2. 表示されるフィールドに計測対象のWebサイトURLを入力
  3. 「Connect」をクリックすると、別タブで対象サイトが開く
  4. ページを実際にスクロールしてみる
  5. GTMのプレビュー画面(TagAssistant)で以下を確認

確認ポイント

GTM8

  • TagsFiredセクションに「GA4-スクロールイベント」タグが表示される
  • Variablesタブで以下の値が正しく取得できているか
    • ScrollDepthThreshold:10、25、50など設定した値
    • ScrollDepthUnits:percent
  • イベントが設定したパーセンテージで発火しているか

問題がなければ、GTM画面右上の「公開」ボタンをクリックして設定を本番環境に反映させます。

ステップ5:GA4でスクロールデータを確認

リアルタイムレポートで即座に確認

  1. GA4管理画面にアクセス
  2. 左側メニューから「レポート」→「リアルタイム」を選択
  3. 実際にWebサイトをスクロールしてみる
  4. 「イベント数(イベント別)」にscroll_depthイベントが表示されればOK
    GTM6

カスタムレポートでスクロール率を分析

  1. 「探索」メニューから「自由形式」を選択
  2. ディメンション:ページタイトルまたはページパス
  3. 指標:イベント数
  4. フィルタ:イベント名=scroll_depth
  5. 内訳ディメンション:percent(イベントパラメータ)

これにより、ページごとのスクロール率分布を可視化できます。

スクロール率データの使い方

ケース1:CTAボタンの最適配置

  • 50%地点での離脱が多い→CTAを30-40%地点に配置
  • 75%到達率が高い→複数のCTAを段階的に配置

ケース2:コンテンツ改善

  • 25%地点での離脱が多い→導入部分を見直す
  • 後半のスクロール率が低い→コンテンツの簡潔化や構成の見直し

ケース3:A/Bテストの指標

  • 滞在時間だけでなく、スクロール率も比較することでより正確な評価が可能

よくあるトラブルと解決法

Q1.プレビューでイベントが発火しない

原因:組み込み変数が有効化されていない
解決法:ステップ1の設定を再確認

Q2.GA4にイベントが表示されない

原因:GA4設定タグが正しく動作していない
解決法:GA4設定タグのプレビューで測定IDが正しいか確認

Q3.スクロール率が正確でない

原因:ページの高さが動的に変化している
解決法:JavaScriptで画像読み込み完了後にトリガー発火を調整(高度な設定)

まとめ

5ステップでスクロール率計測を実装してきました。

ステップ内容重要度
1組み込み変数で「Scroll」関連の3つを有効化⭐⭐⭐
2スクロール距離トリガーを作成(パーセンテージ設定)⭐⭐⭐
3GA4イベントタグを作成+パラメータで変数を設定⭐⭐⭐
4プレビューモードで発火を確認⭐⭐
5GA4でイベントとパラメータを確認⭐⭐

スクロール率の可視化により、「滞在時間は長いのにコンバージョンが低い」といった課題の原因究明が可能になります。

まずは基本設定から始めて、データに基づいたWebサイト改善を進めていきましょう。

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